黒潮の流れる沖合いは台風銀座でもあり、室戸岬は強風で知られる。
古くは海の難所として知られ、海岸は泥岩・砂岩・斑れい岩により、海岸段丘や岩礁、奇岩が形成され、冬でも温暖で、亜熱帯性樹林や海岸植物が茂り、国の名勝および室戸阿南海岸国定公園に指定され、世界ジオパークにも認定されている。
サーフィンの名所でもある。
室戸岬から西側は海岸段丘が発達している。地球上では、間氷期に海水面が高く、高い位置の土地が削られて海食崖になり、氷河期になると海水面が下がり、低い位置の土地が削られて海食崖になる、ということを繰り返している。室戸岬周辺ではこれに加え、1万年あたり20mという速さで土地が隆起している。そしてふたたび間氷期になったときには、かつての海食崖は元の位置より高い位置にあり、水没せずに陸地上の地形として残る。これを繰り返し、階段状の地形が形成された。
残念ながら海沿いの国道55号を走っていても、その海岸段丘は気づくことが出来ませんでしたが、Google等の航空写真を見ると、その素晴らしい自然の摂理に感動します。
高知市側からその室戸岬西側の国道55号を走り、海岸段丘に気付かないまま、岬先端付近の無料駐車場に着き、浜を目指します。
駐車場脇の小道には『室戸阿南海岸国定公園 室戸岬』の看板。
タービダイト層
歩き出してすぐに奇岩、奇石が連なります。
タービダイト(乱泥流堆積物)とは、砂や泥が海水と混ざった流れによって海底に降り積もってできたシマシマの地層のことです。
近寄ってみると縦縞になっていますが、水平に堆積した後、回転して立ち上がったので、縦向きの縞模様になっているのです。
これはまだ完全に縦向きにはなっていないので、水平から垂直に立ち上がっている最中の岩なのでしょうか。
灌頂ヶ浜
ここは弘法大師が灌頂の会式をしたと伝えられる浜で、今なおその清さをたたえています(とのことです)。
灌頂(かんじょう)とは、密教において、頭頂に水を灌いで諸仏や曼荼羅と縁を結び、正しくは種々の戒律や資格を授けて正統な継承者とするための儀式のことを言います。
灌頂ヶ浜は室戸岬のほぼ先端に位置し、岩礁が広がっています。
振り返れば山の上には室戸岬灯台が見えますね。
アコウの木
紀伊半島・四国・九州、台湾、中国(南部)、東南アジアに分布する。高知県内では海岸近くの岩の上に生息する。根を岩にからませ、さらに樹高を低く保つことで、台風の被害を最小限にとどめている。
アコウを含む亜熱帯植物群は、国や県から天然記念物の指定を受けている。
確かに枝が無数に、上ではなく横方向に伸びています。
いくつもの樹が絡み合っているように見えますが、すべて一本の樹。
無数の根が岩の隙間に入り込んでいます。
子授けの岩
室戸岬にはいくつかの有名な岩がありますが、そのなかに子授け岩と呼ばれる岩があります。
この室戸岬、実は子宝スポットとしても有名な場所なのだそうです。
子授け岩をよくみてみると、岩の上には小さな石がたくさんのっています。子授け岩のすき間に石を置くと子宝に恵まれるのだとか。
室戸岬は約1200年前に弘法大師が修業に選んだ場所なので、いろいろ不思議な力が宿っているそうです。
牛角岩
遊歩道から牛角岩の標柱が見えるのですが
しかしながらそれに該当するような岩が見当たりません。
あたりを見渡して遊歩道沿いにあった一番立派なこの岩が牛角岩ではないでしょうか。
あえて断定はしません。
案内板には月見ヶ浜の文字。
いつの間にか灌頂ヶ浜から月見ヶ浜に変わっていましたが、どこが境目なのかわかりません。
これまで歩いてきてずっと連続した浜だったような気がしますが。
目洗の池
乱礁遊歩道の途中にある小さな池。どんな晴天にも干上がることがなく、弘法大師(空海)はこの水を加持し、人々の目の病気を癒したという逸話が残る。
その霊験あらたかな池の水ではありますが、この池の水であなたの目の病気を治すと言われれば私は間違いなく断ります。
さらに悪くなることはあっても良くなることは決してないと思えるような濁りです。
月見ヶ浜のタービダイト層
再びタービダイト層の説明板が現れました。
今度はなにか動物の顔のような岩です。
このタービダイト層は約1600万年前の深海でできたものだそうで、それだけ隆起したんだぞということです。
中岡慎太郎の像
中岡慎太郎は、明治維新の勤王の志士であり、土佐国安芸郡北川郷(安芸郡北川村)に大庄屋の長男として生まれる。
30歳の時、京都河原町の近江屋で刺客に襲われ、坂本竜馬と共に暗殺される。
この像は本山白雲作であり、昭和10年安芸郡青年団が主体となって建てられました。
像より生家・中岡記念館までは36km程度離れており、なぜここに建てられたのでしょうか?
室戸岬展望台
中岡慎太郎像の裏手から階段を登っていくと展望台があります。
先ほど歩いてきた乱礁遊歩道のあたりです。
ちょっと右側、室戸岬の最南端あたりです。
室戸岬最南端のタービダイト層が広がっています。
室戸岬灯台
1899年(明治32年)に初点灯され、直径2m60cmの大きさのレンズは日本最大級で、約49km先まで光が届くそうです。
明治時代に建設され、今なお現役で活躍している灯台は日本に67基あるが、その中でも特に歴史的・文化財的価値が高いAランクの灯台(保存灯台)に指定された23基のうちの一つ。
割と全長の低い灯台なのは台風などの強い風を考慮してのことなのでしょうか。
ちなみにこの灯台の名前は”むろとざき”灯台です。
その他の見どころ
この他にも室戸岬には次のような見どころ等があるそうですが残念ながら岬の東側には行かなかったため、見ずに終わりました。
御厨人窟(みろくど)
今から約1200年前、弘法大師が難行苦行を重ねて虚空蔵求聞持法を修められ、かの有名な三教指帰の悟りを開かれたと伝えられる由緒ある海食洞です。
ビシャゴ岩
昔この付近に「おさご」と呼ばれた美人が住んでいて、そのあまりの美しさに多くの男達が朝夕と彼女に愛を求めようとしましたが、彼女はその煩わしさに耐えかねて、これから先に美女が生まれないようにと祈りながら岩頭より投身したそうです。
それなのに「おさご」の命を懸けての願いも空しく、その後も室戸にはたくさんの美女が生まれているそうです。(室戸岬周辺観光マップより引用)
室戸周辺の女性も見どころです。